第67章 モノの子scene10
「それは…幽鬼じゃないか…?」
「え…?あれも鬼なの…?」
夕暮れ、起きてきた翔鬼に朝見た影の事を話した。
翔鬼はぼくたちの村のことはなんでも知っていた。
だから翔鬼ならわかるんじゃないかと思って聞いてみた。
「わからない…何しろ千年に一度だ…俺はまだ三百年しか生きてないし…」
翔鬼は、木の実を口に放りながら宙を見つめていた。
「俺たちモノが、どうして生まれるかわからないように、幽鬼だってどうして生まれるかわからないんだ…」
「僕のこと…殺そうとした…」
「そうか…用心しなきゃいけないな…お前の正体に気づいているのかもしれない…」
翔鬼は、ふと目線を僕の上に移した。
「それ…必要?」
「え?」
僕の頭の上に、黄色の鬼火があった。
「あ…ごめん…見えるのにね…」
ふっと吹き消すと、翔鬼は苦笑いした。
「もう、寝ろ…和鬼…」
夜目が利くようになったのに、無意識に僕の目は光を求めている。
夜は、修羅の時間…
僕が眠ると、修羅が出てくる。
「眠りたく…ないな…」
「和鬼…」
翔鬼が僕を抱き寄せた。
「いいんだよ…和鬼がどんな姿でいようと…」
その腕に抱かれているうちに、とろとろと眠りに落ちていった。