第66章 モノの子scene9
「翔鬼…」
朝日の中、目を覚ます。
和鬼…
泣きながら俺の腕にしがみつく。
「翔鬼…ごめん…」
金色の長い髪をそっと透きながら、和鬼が泣き止むのを待つ。
「また…僕…」
「いいんだよ…和鬼のせいじゃないんだから…」
頭の頂に、隆々とそびえる角。
和鬼は立派な大人のモノになっていた。
あの時…
俺を助けにきたのは、和鬼だった。
竹の牢をぶちやぶり、鉄の鎖を引きちぎったのは、和鬼だった。
和鬼は、俺よりも数段力の強いモノになった。
もしかしたら潤鬼よりも…
「翔鬼…」
でも…中身はちっとも変わっていない…
甘えたままの、和鬼…
「どうした…?」
そっと頭を撫でると、角が当たらないように胸板に顔をこすりつけてきた。
「だっこ…」
いや…前よりも始末に負えないかもしれない…
「はいはい…わかった…」
腕を広げて寝転がると、はっとした顔をした。
「…どうした…?」
「なんでもない…」
ぎゅっと唇を噛み締めて、そのまま和鬼は立ちあがった。
「外に行ってくる」
「ま、待てっ…」
「翔鬼は寝る時間でしょ?僕は平気だから…」
そういうと、ぽーんと跳ね上がって、一気に洞窟の出口まで飛んだ。