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ヘブンズシュガーⅠ【気象系BL小説】

第65章 モノの子scene8


「和鬼…」


翔鬼の手が、僕を包んで。


もうそこから動きたくない。


翔鬼…僕をしっかり捕まえて…?


離さないで…


「山に…戻れ…」


「嫌…」


「お前…大野に何かされたのか…?」


「え…?」


「和鬼…俺の目を見ろ…」


赤い目が僕を射る。


「ちがう…」


翔鬼の腕を振り払うと、走りだした。


「僕はっ…翔鬼と一緒じゃないと山に戻らないっ…」


「和鬼っ…」


「明日、また来るっ」


後ろを振り返りもしなかった。


寝所にもどると、大野が洗い桶を用意して待ってた。


「今日はえらい遅かったな」


「うん…門番のじいさんとしゃべりこんじゃった…」


「ばか…寒いのに…」


「じいさんも寒そうだったよ?」


「じゃあ、明日毛皮でもやっとく」


大野は僕の足を取ると、そっと湯の中に浸した。


「冷えきってるな…」


そう言って、僕の足を丁寧に洗った。


その横顔には、微笑があった。


堪らなくなって、大野を抱き寄せた。


「…どうした?和…」


「なんでもない…」


大野が顔を上げた。


「なんで泣いてる?」


「え…?」


頬を熱い液体が伝ってた。


「あれ…?」
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