第63章 モノの子scene6
そのまま大野と一緒にごはんを食べた。
大野が酒に酔って寝てしまうと、下女に部屋に連れていかれた。
絹布の上等の布団。
そこにぼくを横たわらせると、下女は微笑んで出て行った。
人間の女を間近に見るのは初めてだった。
おかあさんって、あんなかんじだったのかな…
ぼくにとっては昼間の夜。
ひとりになると、やっとなんでここにいるのか思い出してきた。
そうだ。
大野を殺すためにここにきたんだ。
屋敷の中が寝静まるまで待って、そっと布団を抜けだした。
大野の部屋を探す。
そっと足音を忍ばせて、やっと大野の眠る部屋を見つけた。
そこは、屋敷の一番奥の静かな部屋で。
ぐっすりと眠る大野を見下ろした。
薄い布団は上下に規則正しく動いている。
どうやって殺そう。
修羅になっていたら、また別の方法があるかもしれないけど。
ぼくは非力で。
こどもで。
側にある大野の刀に手を掛けた。
ギラリと抜き取ると、大野へ向けた。
なんの感情も沸かない。
ただ、さっき一緒にお風呂に入った時の笑顔が浮かんだ。
子供みたいに笑うんだ…
刀が重い。