第62章 モノの子scene5
またそれからひと月が過ぎた。
翔鬼の探索は続いたけれど、生き残りのモノは見つかることはなかった。
本当に僕達の村は滅びた。
モノは、僕と翔鬼ふたりきりになってしまった。
また闇から、どこからか生まれてくるまで百年以上かかるだろう。
それまで、ぼくと翔鬼はふたりきりで時を過ごす。
ぼくが完全に修羅になれれば、その前にモノを増やすことができる。
どのみち、完全に修羅になる方法がわからないんだから、それはいつになるかわからなかったけど。
ある日、翔鬼が都にいくと言い出した。
「もう俺たちふたりになってしまったんだし、都で住まないか?」
山の洞窟では、通常の食事すら難しい。
ぼくたちは人間を食べるけど、それは毎日じゃない。
10年から30年に一度食べられればいい。
普段は人間と同じ生活をして過ごしてる。
「それに、大野はどうやらあの場所に、屋敷を構えるみたいだし…」
モノの墓所に潤鬼と雅鬼を埋めたかったけど、大野たちはあの場所を出て行かなかった。
暫く、近寄れない。
「今はただ、がまんして待つしかない…」
翔鬼は、都で住むところを探しに山を降りていった。