第60章 モノの子scene3
一晩中、子鬼たちとそうやって雅鬼の帰りを待った。
朝日が洞窟の入口から差し込んできても、誰も動かなかった。
「和鬼…」
子鬼が不安げに声を出す。
「ん…大丈夫だよ。ぼくがいるよ…」
もしかして、もうモノはぼくしかいないのかもしれない。
だったらぼくが修羅になる意味もない。
…いや…
ぼくが修羅になれば…
潤鬼と同じことができるんじゃないか…?
ぼくと人間の間に、モノを作り出すことができるんじゃないか…?
いや、修羅にならなくても…
ぼくが人間の女をさらって来れば…
「和鬼…それはだめだよ」
子鬼がぼくの頬をぺちぺち叩く。
「潤鬼は、女を食べた」
「そうだ。潤鬼は食べたんだ!」
「もしかして…それはぼくのおかあさん…?」
「おかあさんって何だ?」
「…ぼくをつくったひと」
「わからない」
子鬼におかあさんの説明をするのは難しかった。
「潤鬼は、女を食って泣いた!」
「きっとまずかったんだ」
「だから和鬼、食べちゃだめだ!」
なんで…おとうさんは泣いたんだろう…
悲しかったのかな…おかあさんを食べて…
じゃあなんで食べたんだろう…