第60章 モノの子scene3
「必ず翔鬼を連れて戻るからっ…」
雅鬼の声だけが暗闇に残った。
子鬼たちがぼくの回りに集まってきて、からだを寄せてきた。
「和鬼、いたい?」
「雅鬼、殴ったの?」
「なんで殴ったの?」
「いたい?だいじょうぶ?」
口々に言って、俺の頬を小さな手で撫でてくれる。
「大丈夫だよ…悪いのはぼくだから…」
また零れた涙を、小さな手が撫でていく。
「泣かないで?和鬼?」
「楽しいお話してあげる!」
「どんなお話がいい?和鬼!」
ぼくを慰めようと、必死で騒ぐ子鬼たちをぎゅっと両手に抱えた。
「ごめんね…ぼくもっと、強くなるから…」
「和鬼…泣かない?」
「うん。もうなかないよ」
子鬼たちは嬉しそうにころころ笑った。
ぼくの顔をさらさらと撫でていく。
「和鬼、いいこ」
小さいころ…
淋しくて泣いているぼくを、よく子鬼たちはこうやって慰めてくれた。
「ありがとう…子鬼たち…」
この子たちは、ぼくたちモノとは違う。
人間の弱い心から生まれた。
だから、人間とは戦えない。
だから、優しい。
ぎゅっと抱きしめた腕から零れた子鬼が、ぼくに這い登ってくる。
「待ってて、次ね」
そういうと、シュンと眉毛を下げた。