第58章 モノの子scene1
「和鬼っ…」
部屋に雅鬼が飛び込んできた。
「人間がきた。早く潤鬼のとこへいこう?」
「うん…」
雅鬼が手を引いてくれる。
夕闇のなか、潤鬼がいる洞窟へ導いてくれた。
「和鬼は、暗いところ怖いんだもんね?」
からかうように言ってくる。
「違うもん…ちょっとだけ、他のモノよりも暗いとこがみえないだけだもん…」
「そうかあ…お前は半分人間だもんなぁ…」
本当のことを教えてくれたのは、雅鬼だった。
こいつだけは信用できる。
「はい。着いたよ。早く潤鬼のところへ行くんだよ?」
そう言って雅鬼は戻っていった。
「雅鬼、気をつけて…」
「うん!ありがとうな!」
雅鬼が見えなくなるまで見送って、潤鬼の居る洞窟の奥へ歩いて行った。
ほんのりとろうそくの灯りが見えた。
「潤鬼…?」
「和鬼か…こっちへこい」
潤鬼は身に鎧をまとっていた。
「潤鬼!無理しちゃだめだ!」
「大丈夫だ…」
ゆらりと立上がる。
「人間を食べてないんだから…無理しちゃだめだ…!」
「いいんだよ…和鬼…お前はここにいなさい」
潤鬼は都のモノの中心で…
人間に襲われる度に、潤鬼が先頭に立って戦ってきた。
でも…
今の潤鬼は…人間を食べることをやめてしまって、とても弱っていた…
そう…ぼくたちモノは、人間を食べないと死んでしまうのだ。