第54章 ラズベリーscene4.5 その6
潤がタオルを持ってきて、傷口を押さえるように言う。
タオルはすぐに血で染まった。
雅紀はじっと松にぃを見てる。
ぎゅっと傷口を押さえると、雅紀の顔が歪んだ。
潤が何件か電話してる間、俺は少しずつ冷静になってきた。
雅紀は、そっと俺の手に自分の手を重ねてきた。
「雅紀…」
「和也…ごめん…」
それからじっと俺の顔を見つめた。
「ちゃんと別れたからね…泣かないで…?」
いつの間にか俺は泣いてた。
「好きだよ…和也…」
「まさ…」
もう、雅紀は俺しか見てない。
やっと…
やっと全部手に入れた。
「雅紀…嬉しい…」
俺が言うと、雅紀は微笑んだ。
「愛してる…」
震える手で、俺の顎を包み込んだ。
そのまま雅紀が俺にキスしてくれた。
唇が冷たかった。
「雅紀っ…愛してるっ…」
ぎゅっと頭を抱き寄せた。
涙が雅紀の髪に落ちた。
潤の電話が終わると、雅紀を運ぶことになった。
まだ雅紀は歩けたから、このまま潤が肩を貸して行くことになった。
にぃを見たら、さっきから一回も動いてない。
「俺、残るよ…」
「え?」
「松にぃには、誰かついていないとダメだと思う」
「和也…」
「雅紀のこと、よろしくね」
「…わかった…」