第52章 ラズベリーscene4.5 その4
自販機の前で、雅紀は俺の顔をみないで言った。
「俺…松にぃと…」
「うん…言わなくていいから…」
「え…?」
「だって、俺だって潤がいるし…雅紀だって他に愛する人がいるのって、最初からわかってるし…」
「違うっ…ニノっ…」
「なにが…?」
「俺は…」
「だから、俺、このまんまでいいからね…?雅紀に無理させられないから…」
「ニノ…違う…俺たち、もう…」
「相葉さん、いこっか」
俺はにっこり笑って手を差し出した。
雅紀はそれをぐっと握りしめた。
「電話…してもいい?」
真っ直ぐ目を見て言うから、曖昧にごまかしておいた。
ごめんね…雅紀。
まだ足りないんだ…
夕方、仕事が終わるとスマホを手に、駐車場に向かった。
今日は潤はこの後、撮りがあるから別々に来た。
駐車場に見慣れた大きな車が停まってた。
窓を叩くと、開いた。
「にぃ、ごめん。待った?」
にっこり笑うと、にぃが微笑んだ。
「早く、乗れよ。ニノ」
俺は助手席に乗り込んだ。
「お前よ…この前…」
「ん?なに?」
「いや…なんでもない…」
やっぱりなんにも覚えてないんだ。
俺はにやっと笑った。
「にぃ、女の子ひっかけてたけど、相葉さんには黙っといたから」