第6章 華落
次の日…
花展が開始されて早々に、境内の中央にテーブルが用意された。
そこに無数の花を載せていく。
その横に、おおきな器を用意した。
いつも、先生がここに花を盛っていく。
冬花展はこれが一種、目玉で。
それを僕がやるなんて…
手に汗をかきながら、器の前に進む。
遠くで先生が僕を見つめている。
「松本先生、がんばってー!」
教室の生徒さんが、声を掛けてくれる。
引きつった笑顔を返すと、爆笑が起こった。
「やだ、松本先生かわいい!」
女性の生徒さんは、すぐこれだ…
僕はまた器に視線を戻すと、集中した。
先生なら…どうする?
もう何年、先生のことを見つめてきたか。
そこから僕はなにを掴んだのか。
考えろ。
今は…先生のあの姿は忘れて。
先生に頂いた、大役を勤め上げるんだ。
僕の華道を…昇華させるんだ。
一本の花が、僕の目に飛び込んできた。
黄色の薔薇(そうび)…
嫉妬の色…
目を閉じると、僕の手は動き始めた。