第44章 哀婉scene8
「俺がお茶入れるから…」
和也がカウンターに立つ。
紅茶の缶を持って、途方に暮れてた。
「何してんの…?和也…」
「これは…みたことないお茶で…どうやって飲むの?」
「ああ…紅茶、飲んだことないっけ?」
「緑茶と番茶しか飲んだことない…」
イギリス租界で買った紅茶が気に入って。
俺の部屋には紅茶しかない。
「じゃあ、俺が淹れるから…」
「待って…俺が淹れるから…そこに座ったまま教えて?智」
優しく微笑むと、缶を開けた。
俺が教えてあげると、素直に手を動かして、紅茶を淹れていく。
「後は、この布を被せればいいんだね?」
「そう。ちょっとだけ、蒸らすんだ」
そういうと和也はニッコリ微笑んだ。
「手間暇かけりゃあ、うまい茶が飲めるよなぁ?」
「そうだよ?わざわざそんなことするんだから、美味いに決まってる」
そう言うと、和也はくすくす笑った。
「智って…そういうこだわりあるんだ…」
「あっちゃ、だめ…?」
「ううん…だって、執着ってものがなさそうに見えるんだもん」
「そう…?俺、執念深いよ…?」
そう言うと、和也は真面目な顔を俺に向けた。