第43章 哀婉scene7
「もう…こない…」
潤は身支度を整えると、ドアに向かった。
「潤っ…待って!」
ドアの前で潤を後ろから抱きとめる。
「いかないで…お願い…」
「そんなに金が欲しいのかよ…」
「違うっ…そんなもの、紙くずだ」
「え…」
「俺は…女達と違って、借金もない…好きでこの仕事やってんだ…」
「嘘だろ…」
「嘘じゃない…俺は、売られてなんてないんだ…」
「なんで…?なんでこんな仕事…」
「それは…」
上手く、説明できなかった。
愛が欲しいから。
ただ、それだけ。
でも愛されるのは、一晩でいい。
束の間。
永遠の愛なんて、ないんだから…
そんな前提の愛、いらない
「どうして…?智…」
「潤…俺は…こうやってたまに会いにきてくれるだけで、いいんだ…」
ぎゅっと潤のシャツを握りしめた。
「もう…愛して、傷つきたくない…」
これが精一杯だった。
これ以上、説明できない。
「智…どんな恋をしたの…?」
恋なんて、生易しいものじゃない。
愛なんて、綺麗なものじゃない。
ただ…
俺たちは肉塊だった。
慎吾の残像が、まぶたに蘇った。