第37章 哀婉
日本人はまだいい。
中国人はとにかく働かない。
時間も守らない。
衛生的にも問題がある。
そんなの相手に、これから仕事をしていかなきゃならない。
もちろん、中国人以外の外人だって客でいるがね。
英語を喋れることを恨んだ。
こんなことになるなら、しゃべれないほうが良かった。
「え…と、お客さん?」
「あ…ごめん」
智が遠慮がちに俺の隣に座る。
ソファがきしむ音が部屋に響いた。
この娼館は、男も女も売ってて。
やけっぱちになった俺は、女でも抱いてやろうと、会社の人間に聞いてやってきたのだった。
それなのに…
指名したのは、男で。
「…名前…教えて?」
ゆっくりと俺の肩にしなだれかかってくる。
その温もりが俺を熱くさせた。
「翔…」
「いい名前だね…」
俺の右手に、手を重ねてくる。
「こういうとこ、初めて?」
「うん…」
「男も…初めて?」
「うん…」
「そうなんだ…」
智は俺の右手を自分の股間に導いた。
「人の、触るの初めてでしょ?」
そういうと、妖艶に笑いかけた。
「きみ…」
「智って呼んで…?」
「智…」
ゆっくりと、ソファに倒れこんでいった。