第4章 夢に舞い、恋に舞う 3
心臓が破裂するかと思った。
お酒で上気した頬。
いつも以上に艶めいている唇。
そして、ちょっと嫉妬で曇った瞳。
「ぼ、僕は…お師匠一筋です…」
「そろそろ…」
「え?」
「名前…呼んでくれね?」
「え?は…え?」
「言ってみて…」
「う…」
だんだん顔が近づいてくる。
でも恥ずかしくて、僕は言えなかった。
「言わないと…キスするよ…?」
「あ…ずるい…」
「え…?」
「キス…したぃ…」
最後は声にならなかった。
自分からこんなこと言うなんて。
恥ずかしすぎる。
「雅紀…」
お師匠のぽてっとした唇が頬に触れた。
「名前…呼んで…?」
「あ…ん…」
頬に触れた唇が、耳たぶを弄ぶ。
「まさか、知らないとか…?俺の名前…」
「しっ…知ってます!」
がばっとお師匠の身体を起こした。
「櫻井翔!1月25日生まれ!A型!慶応義塾大学経済学部卒業!171センチ!57キロ!」
「…おまえ…」
「あっ…」
「どこで調べたんだよ…それ…」
言えない…お母様に聞いたなんて言えない…