第4章 夢に舞い、恋に舞う 3
「ふ…でも、美味しいだろ?一年で3000本しか作れないんだよ?それに、不作の年なんか、もっと少ないんだから…」
「あ…はい…」
もう味がわからない。
こんな高級なもの、飲んだことない。
「俺は…赤より、白のほうが好きだなぁ…」
伝統芸能のひとは、とにかく飲む。
日本酒を浴びるほど飲む。
おかげで若ハゲのひとが多いんだけど…
実はヅラの人も多い。
差し入れで日本酒をいただくことがおおいし、お呼ばれしていった席では必ず日本酒が出るし。
この前なんて観音流の鼓奏者の方と飲んでいたら、角樽に頭つっこんで飲んでた…
それなのに、お師匠は珍しく白ワインが好きだという。
「おかしい?俺が白ワインすきだと」
「いえ…でも松本の先生も赤がすきだっておっしゃってました…」
「ふ…あの人とは、一度飲んでみたいな…」
松本の先生と、お師匠は面識がなかったけど、僕の一件でつきあいができた。
松本の先生のほうが年上だけど、お師匠のことを尊敬している。
「松本の先生に、連絡しておきます」
「ああ…頼むな」
そっと笑うと、僕の頬を手で包んだ。
「でも…もうお前は俺の弟子なんだからな…?」