第4章 夢に舞い、恋に舞う 3
「あ、これうめっ…」
丸鶏にかぶりついて、子供みたいに喜ぶ。
「よかった。これ、商店街で買ってきたんですよ」
「そうか、いい味だな」
「はい」
ふたりで鶏にかぶりつきながら、シャンパンを味わう。
お師匠のピッチが早くて、シャンパンがなくなってしまったから、白ワインを開けた。
「これ…東山先生にいただいたのじゃないですか…?」
「ああ…構わないよ。ワインなんだから飲まないとね」
といっても、これ…
かなり高級なワイン…
「これは、ろまねこんてぃってやつですよね…?」
「そう。ロマネ・コンティ」
「無粋なことを聞いていいですか…?」
「なんだ?」
「これっておいくら位…?」
「百五十万くらい?」
「えっ!」
思わず口に入っていたのをグラスに戻しそうになった。
「やめろ。これはな東山先生が、俺が独立したときにがんばれよってくださったものなんだ…飲まないとバチが当たるよ」
ひゃ…百五十万…
お祝いに…百五十万…
ほんっと伝統芸能の世界って…
入って10年近く経つけど、まだこういう部分が慣れない。
ご祝儀だタニマチだ、いろいろあるけど…
庶民とは桁が違いすぎる。