第26章 鈴~リン~
「知ってる?カズヤ先輩って、ゲイなんだって!」
その言葉だけ、私の耳に飛び込んできた。
驚いて顔を上げた。
「あ、リンちゃんも興味あるの?」
おさげをした同級生がこちらをみている。
「え…」
とまどっていると勝手に話しだした。
「カズヤ先輩ってね、ゲイでね。でもそれを隠してないんだって!」
「そ、そうなんだ…」
「びっくりするよね!2年の先輩達は、それを受け入れているんだって」
一気に言うと、身体を捩った。
「なぁんか、かっこいいよねぇ~」
「はぁ…」
そっか…ゲイなんだ。
あっという間に失恋した。
それから後は同級生の話してることは頭に入ってこなかった。
校庭を歩いていたカズヤ先輩は、2年の先輩に向かって手を振っていた。
可愛らしく手首の先だけで。
眩しかったのか目を細めていた。
…そっかゲイなんだ…
それを隠さないなんて、凄いと思った。
私達の年頃は、飛び出したら疎外される。
だから私は必死に目立たないようにしていた。
年齢の割に、大人びているとよく言われた。
冷めているともよく言われる。
だからなるべく誰とも喋らないようにしていた。
異分子。
自分のこと、そんな感じがしていた。