第26章 鈴~リン~
入学式から暫く、彼を見かけることはなかった。
同級生は、知らない子ばかりで馴染めない。
私は窓の外ばかり見てた。
先生の話は退屈で。
こんな授業が将来の役に立つなんて思えなかった。
早く大人になりたかったけど、大人になって何がしたいかなんて決まってない。
今すぐ高校なんかやめたかったけど、やめたら社会のレールから溢れることはわかっていた。
どうしていいかわからずに、学力に見合った高校に来た。
でも相変わらず授業は退屈で。
同級生は子供っぽくて。
なんだか馴染めない。
休み時間も、ずっと外を見てた。
3時限目の休み時間の時、校庭を悠々と歩いてくるあの人を見た。
「こらー!カズヤー!」
上の階の教室から、先輩たちが囃し立ててる。
同級生たちがその声を聞いて、窓際に集まってくる。
「あっ…カズヤ先輩だっ…」
女子たちが騒ぐ。
カズヤ先輩は綺麗な顔をしていた。
色が白くて、目が黒目がちで。
笑った顔は子犬みたくて。
唇の端はいつも笑っているみたいに上がってて。
女子達は熱心にうわさ話をしていた。