第24章 カズヤⅢ
「じゃああとひとつ、カズヤにお祝いあげるよ」
雅紀が笑っていう。
「なんでも言ってごらん?俺達でできること、するよ?」
充分だった。
これ以上、この人達にはなにも求められない。
俺は首を横に振った。
声は出せるようになったが、まだたくさんは喋れなかった。
「いらないの?」
頷いた。
そのかわり、高校卒業までは。
お兄さんたちの傍にいさせてください。
俺の願いは、それだけだから。
翔が俺の前に立った。
テディベアを抱きしめている俺を、抱きしめた。
「どうしたい?言ってごらん?」
なんでだろう…
なんでわかってしまうんだろう。
本当はそんなこと思ってない。
お兄さんたちのそばにずっといたい。
子供でいい。
保護されてていい。
もっと甘えたい。
もっとわがまま言いたい。
「だ…いて…」
翔がびっくりして俺の顔をみた。
雅紀も俺の顔を見た。
「一回でいいから…だいて…」
俺は翔にしがみついた。
答えは聞きたくなかった。
お兄さんたちの大事な人は俺じゃないから。
俺は死ぬほど言ったことを後悔した。
声なんて出なければよかった。