第24章 カズヤⅢ
キスは、軽いもので。
そのまま、また唇は離れていって。
ものたりなくて。
でも、これ以上わがままは言えなくて。
俺は下を向いた。
雅紀はリビングのサイドボードに歩いて行くと、スマホを手にとった。
電話を掛ける。
「あ、翔ちゃん?今ね、カズヤの声、出たよ」
嬉しそうに翔に話していた。
その日の夜、翔が大きな箱を抱えて雅紀の家にやってきた。
「カズヤ、声きかせてごらん?」
「しょ…う」
「ん、よし。大丈夫だな…」
そういうと、にっこり笑った。
笑ったと思ったら、俺にキスをくれた。
「な、んで…?」
聞いてみると、翔はにっこりとまた笑った。
「だって、カズヤがキスしてほしそうな顔してるから」
そんなに物欲しそうな顔してるかな…
俺はほっぺたに手を置いた。
隣で雅紀が笑っていた。
「カズヤの考えてること、声が出ない分わかるようになってきた」
そういってまた笑った。
翔の持ってきた大きな箱の中には、テディベアが入っていて。
「カズヤのお友達にしなよ」
そう言っていたずらっぽく笑った。
俺が子供扱いされたと剥れると、二人共笑った。
笑い事じゃないよ…俺、高校生だよ?