第23章 カズヤⅡ
たまに、三人で眠ることがあった。
俺を挟んで雅紀と翔が寝てしまう。
俺はあの日を思い出した。
もう二度と訪れない、幸福な時間だったと、今は思う。
このお兄さんたちの願いが叶った今は、もうあんな時間は必要ない。
無性に寂しくなった。
でも、この寂しさと一生つきあっていかなければならない。
これを俺の一部にしていくことができるんだろうか。
手のひらをじっと見る。
この手に掴める未来が、俺の孤独を埋めるものになるのだろうか。
それともこのままだろうか。
急に見ていた手を掴まれた。
雅紀が俺の手を掴んでいた。
雅紀の方を見ると、手のひらを雅紀の胸に抱えてぎゅっと抱きしめた。
そのまま、雅紀は眠りに落ちた。
嬉しいけど、切なくなった。
俺のお兄さん…優しいお兄さん。
けど、俺のものにはならない。
悲しい。
二週間が過ぎても、三週間がすぎても一向に俺の声はでない。
そろそろ一ヶ月になろうかというころ、翔が学校のパンフレットを持ってきた。
翔は俺に変わって銀行とか、日本に本格的に帰るための手続きとか、やってくれていた。
俺は遠慮したんだけど、やらせてくれと言われた。