第23章 カズヤⅡ
雅紀の家に帰ると、仕事に行っていた翔が来ていて。
俺の顔をみるとぎゅっと抱きしめてくれた。
「何があった?カズヤ」
別になにもないよ。
俺が自分が不幸だってことに気づいただけで。
でもその腕の温もりが暖かかったから、しがみついた。
「雅紀、パジャマみたか?」
突然、翔が俺を抱きしめながら言った。
「え?」
「血が付いてる」
「カズヤ…?」
雅紀はすぐに俺の脱ぎ散らかしたパジャマを手にとった。
「カズヤ…これどうしたの!?」
雅紀が叫びながら俺の肩をつかんだ。
俺は小さく顔を横に振った。
答えられない。
そのまま翔の胸に顔を埋めた。
雅紀の目を、まっすぐな目を見ていられなかった。
結局、また俺は病院に連れていかれた。
ずっと雅紀が俺の隣で俺を抱きしめていた。
翔は運転席でずっと黙っていた。
治療をしてもらって、また治療費を払ってもらった。
申し訳なくて、涙が出そうだった。
裂傷だけだったから、縫わなくて済んだ。
そのまま塗り薬をもらった。
帰りに翔と雅紀がいきつけだという、セレクトショップに寄った。
俺のために洋服をごっそりと買ってくれた。
俺の持ち物がトランク一つだけだということが、翔にはわかっているみたいだった。