第23章 カズヤⅡ
雅紀はそれでも俺の目から逸らさない。
「カズヤ言って?言わないとわからないよ?」
大丈夫だから、そう言おうと思った。
でも声が出ない。
何度も声を出そうとした。
出なかった。
喉になにか引っかかっているようで、全然声が出ない。
「カズヤ…?どうしたの?」
喉を押さえた。
咳もしてみた。
でも出ない。
かすれた息が喉から出てくるだけだった。
俺はパニックになった。
雅紀の両腕にしがみついた。
顔をひたすら横に振る。
それしかできなかった。
「カズヤ…声が出ないの!?」
雅紀が俺の肩をゆさぶる。
何度も頷いた俺を、雅紀は胸に抱きしめた。
ぎゅっと力がはいる。
「お前…ロンドンで何があったんだよ…」
わからない。
なんでこんなことになったのか。
雅紀は俺を着替えさせると、すぐに病院へ俺を連れて行った。
平日で人がたくさんいるのに、総合病院へ連れて行ってくれて。
総合診療科の先生がいうには、ストレス性のものだろうということだった。
声帯などに問題はない。
精神安定剤を出されたが、雅紀は途中でそれを捨てた。
保険証もなにもなかったから、雅紀は実費の費用を全部払ってくれて…
ごめんという仕草をすると、頭を軽く叩かれた。
「高校生が、遠慮するんじゃないよ」
そう言って笑った。