第22章 カズヤ
電話が鳴った。
番号をみると、翔だった。
心が震えた。
俺はこの人達と触れ合って、何かが変わった。
それがなんなのかわからない。
でもそのお陰でロンドンに来る決心がついた。
たった一回のことだったけど、俺の中では大きな出来事だった。
「もしもし?」
『もしもし、俺、雅紀』
「雅紀!元気にしてる?」
『うん。元気だよ。カズヤは?』
「うん…元気だよ?」
『…ほんと?パパと上手く行ってるの?』
雅紀は何かを察したのか、突っ込んで聞いてくる。
「上手く行ってるよ。大丈夫」
『声が無理してる』
「…え?」
『あ、ごめん…そう聞こえた』
たった、数十秒の中でこの人は俺の中を見抜いた。
そうだよ…
パパといても満たされていないよ。
あなた達とのあの一回のほうが、よっぽど満たされた。
でも、そんなこと言えない。
言えるはずもない。
「翔は、元気?」
『ああ、今代わるから』
「うん」
『カズヤ?大丈夫?』
「なんだよ…翔まで…」
俺は苦笑いをした。
なんだって今日は、俺のことこんなに気にかけてくれるんだ。
「俺のことよりも、そっちはどうだったの?愛おしい人と」
『あ…うん。それを報告しようと思って電話したんだ』
「どうだったの?」
思わず身を乗り出した。