第19章 櫻井翔のキケンな夜会
天使の寝顔を眺めていたら、だいぶ時間が経った。
俺は安堵した。
これで今日のコキュートス行きは逃れられそうだ。
後は余計なお節介を焼くやつが出てこない限り、アノことは話題になるまい。
俺は立ち上がって、キッチンへ行った。
ピノを取り出してリビングに戻ると、テレビ画面に大写しに俺と上島竜兵のキスシーンが写ってた。
「あああああああああああああ」
ソファにはリモコンを手に、上体を起こしてテレビに見入っている潤が居た。
こちらを振り返ると、極上の笑顔を見せた。
「翔、なにこれ?」
「いっ、いや…その…」
「もう二度とやらないって言ったよね?」
「だって…」
「言い訳する気?」
「不可抗力だよ!」
「そんなに竜さんがいいわけ?」
「そんなわけないだろ!?」
言いながらじわじわと潤は俺のほうへ歩いてくる。
俺はじわじわと後退する。
ダイニングテーブルに当って、それ以上後ろに進めなくなった。
突然、バンっと潤がテーブルに手をついた。
俺の至近距離まで顔を寄せる。
「なんで俺の嫌がることするの?」
この男、自分は夜遊びに行くくせに、俺のことは超縛り付ける。
「だからぁ…しょうがなかったんだって…」