第3章 夢に舞い、恋に舞う 2
いいところと聞いても、どこだかとんと見当がつかなくて。
いつの間にか、運転するお師匠さんの横顔を見つめてる。
「雅紀…」
「はい」
「そんな見てると、運転しにくい…」
ちょっとだけ赤くなって言うから、おかしくて。
「笑うなよ…」
コツンと頭を叩かれた。
それが、なんだか嬉しかった。
車が着いたのは…
「あ…」
いつも僕が洋服を買っていたブランドのお店で。
弟子に入ってからは、サラリーマン程の収入がなかったから、買うのを我慢してた。
「今日は…一着だけ。好きなの買ってやるよ」
「そんなっ…」
「だって…雅紀、誕生日だろ?」
「え…?」
「ごめんな…プレゼント選ぶ暇がなくて…それでなくても、俺たちいつも一緒にいるし…」
「あ…え…?知ってたんですか?」
「当たり前だろ?」
そっと僕の耳元に口を寄せた。
「大事な恋人の誕生日だから…」
そういうと、僕の手を引いてお店に入っていった。
あの二宮さんの地図…
わざわざ訊いてたんだ…
クリーニング屋ならわかるだろって、聞いてるお師匠の姿が目に浮かんだ。