第17章 海鳴り
”大野さん…好きだよ…”
夢で翔くんが言った言葉が、脳裏に甦る。
「しょ、翔くん…」
翔くんは泣きやまない。
ぎゅうっと俺を抱く手も緩まない。
翔くんの匂いに、頭がくらくらしてきた。
ちらと雅紀の顔を見上げた。
「え?」
手をちょいちょいと振った。
「え?」
にぶちん…
目で出てけと合図してみた。
それでもわかんないみたくて。
俺も翔くんをぎゅうっと抱きしめた。
またちらと雅紀を見上げると、やっとわかったみたい。
一瞬、呆然とした顔をしたけど、真っ赤な顔をして出て行った。
「翔くん…?」
身体を離すと、翔くんの顔を覗きこむ。
目を真っ赤にして、翔くんは俺を見ている。
まっすぐに、俺は翔くんを見ることができた。
「これから…よろしくね…?」
「うん…」
嬉しそうに、微笑んだ。
その唇が、あんまり艶っぽくて…
俺はキスをした
「へ…?夢…?これ…」
なんて翔くんが言うから、ほっぺをつねってやった。
「い。痛い…」
「ね、もう一回してもいい?」
「えっ?」
「もう一回」
「えっ?」
「だから、もう一回」
いつまでたっても、二回目のキスはできなかった。