第17章 海鳴り
遠くで、和と潤の笑い声が聴こえる。
雅紀の顔を見たら、こくんと頷いた。
「あのね…翔くん…俺…」
翔くんがじっと俺を見つめる。
真っ直ぐな眼差しを、俺は受け止めた。
「ここに住んじゃだめかな…?」
雅紀にはもう話してあった。
雅紀の漁師の仕事を手伝いながら、民宿の仕事もする。
つまり…この家の住み込み従業員になる。
東京に居る両親にも電話で話してある。
この家の親父さんは、連絡が取れないから、取れ次第雅紀が話をしてくれる。
後は、翔くんの答えだけだった。
「え…?大野さんが、ここに住むの…?」
「うん…ここで、働きたいんだ。翔くん、どうかな…?」
「大野さん…」
「翔くんが反対なら、俺…」
「そっ…そんなわけ無いじゃんっ」
翔くんは飛び起きて、布団をぎゅっと掴んだ。
「もう…死ぬのやめたの?」
恐る恐る聞いてくる声に、笑顔で答えた。
「うん」
「大野さん…」
がばっと翔くんが俺に抱きついてきた。
「えっ…」
「しょ、翔っ…」
「う…うえぇ…よ、よかったぁ…」
翔くんが声を上げて泣きだした。
「大野さん、死ななくてよかったぁ…」
ぎゅうっと抱きしめられると、翔くんの襟足からいい匂いがした。
ぼぼっとほっぺたが熱くなる。