第17章 海鳴り
民宿の名前の入ったワゴンの後部座席に翔を寝かせた。
「ごめん…大野さん、翔を抱えて貰ってもいい?」
「あ、ああ…わかった」
チビたちを前の席に詰め込んで、俺は後部座席に乗り込んだ。
翔くんの身体を抱えるとぎゅっと抱きしめた。
身体の上に布団を被せると、車は走りだした。
翔くんの身体は、熱くて。
額の汗が玉のように光って。
「翔くん…」
小さく呼びかけると、薄っすらと目を開けた。
「あれ…おかしいな…まだ夢みてる…」
そう言うと、にっこり俺に笑いかけて来た。
「翔くん…」
目を閉じた翔くんは、また意識を失った。
ぎゅっと抱きしめると、何もできない自分がもどかしくてしょうがなかった。
雅紀は無言で車を走らせる。
さっき来た病院の前につくと、雅紀が車から飛び降りていった。
すぐにストレッチャーを持った看護師さんが飛び出してきて、俺の手から翔くんを奪っていった。
チビたちがわあわあ泣いているからまた両腕に抱えて、ストレッチャーの後を追った。
タイヤの軋む音が、廊下に響く。
バタバタと普段は走ってはいけない廊下を力一杯走った。