第17章 海鳴り
「夢なのに…だるいなぁ…」
翔くんの体重がぐっと腕に掛かる。
「翔くん…大丈夫?」
「うん…大野さん…?」
「なに…?」
「好きだよ…」
翔くんの手がぱたりと落ちた。
「え…?」
翔くんの身体を揺する。
「翔くん!?翔くん!?」
翔くんは目を開けない。
「待って…翔くん…待って…!」
身体から力が抜け落ちていく。
「翔くんっ…」
微笑んだ顔が、がくりと揺れた。
「翔くんっ…好きだっ…俺も…好きだよっ…!だから…いくなっ…いっちゃだめだっ…」
「…のさん…おおのさん…」
遠くで、誰かが俺を呼ぶ。
だめだ…
翔くんを探さなきゃいけない。
「大野さんっ…!」
はっきりと聞こえたのは、雅紀の声。
「まさ…き…?」
「大野さんっ…大野さんっ!」
全身がびしょ濡れだった。
身体が重い。
目を開けると、雅紀もびしょ濡れだった。
「ああああっ…」
雅紀が俺に覆いかぶさって、大声で泣きだした。
「雅紀…」
「良かった…良かったぁ…」
ぎゅううっと、痛いくらい抱きしめられた。
「く、苦し…」