第17章 海鳴り
「死ににきたんでしょ…?ここに」
答えられないでいると、翔くんが少し笑った。
「ずっと…皆で心配してたんだよ…?大野さん、死にに行くんじゃないかって…」
「なんで…」
「すぐわかったよ…だって、少し前の俺みたいだもん」
「え…?」
「生きてる意味がわからなくて、迷路から出られないって顔してた」
翔くんが腕を離し、俺の顔を覗き込んでくる。
「生きて…?大野さん…」
「いやだ…」
「大野さん。お願い…」
「いやだ…これ以上…耐えられない…」
「皆、あなたのことが好きだよ?」
「嘘だっ…」
「嘘じゃない…大好きだよ‥大野さん…」
翔くんが手のひらで俺の頬を包む。
「大好き…」
翔くんが透明な笑顔で、微笑む。
そのままゆっくりと唇が近づいてきた。
思わず目を閉じたら、温かい唇が重なった。
じんわりと、そこから翔くんの熱が伝わってくる。
「夢だから…いいよね…?」
そう言うと、またキスを落とす。
ちゅっ…と音が、白い世界に響く。
「好きだ…大野さん…」
翔くんの唇から、次々と出てくる言葉はまるで魔法が掛かってるみたいに、俺に吸い込まれる。
「ずっと…このまま…傍にいてよ…」