第3章 夢に舞い、恋に舞う 2
クリーニングの袋を手に取ると、二宮さんは爽やかに去っていった。
「洗濯屋になりきっちゃって…」
お師匠が溜息をつく。
「ほんと…もったいないですよね…才能あるのに…」
「雅紀も才能あるよ?」
「えっ?」
「才能っていうか…天性だな…」
ぽつりと呟いて、顎に手を当てて何かを考え込んでいる。
いつまでもいつまでも考えこんでいるから、そっと勝手口から出た。
僕に才能なんてあるわけない。
ただ、必死に努力してきた10年が、今の僕を支えてる。
お師匠さんに認めて貰えたのも、ひとえにそれだと思ってる。
今は、その気になれば一日の大半をお稽古に当てることができる。
こんな生活ができるなんて、夢のようだった。
台所から持ってきたメモ。
あ、これ…二宮さんの地図…
渡すの忘れてた。
しょうがない。後で渡そう。
外に置いてある自転車に跨ると、お買い物にでかけた。
近所の商店街は朝が早い。
市場で仕入れてそのまま店を開くから、朝早く行って新鮮なものを手に入れる。
お師匠に少しでも美味しいものを食べさせたくて…
毎日この時間に買物に出てる。