第3章 夢に舞い、恋に舞う 2
「肩に力、入りすぎ…」
いつの間にか、お師匠が背後に立ってて。
僕の肩を両手で掴んだ。
そっとその手を擦るように動かす。
「舞踊の基本…肩の余分な力は抜くこと…」
そっと耳元で囁くように教えてくれる声。
低くて、甘い…
肩を擦っていた手が、だんだん腕に降りてきて…
そっと僕を抱きしめた。
「まさ…」
「こんにちはー!二宮クリーニング店でーす!」
慌てて離れる。
「あっ…今、いきまーす!」
勝手口に向かうと、二宮さんは上り口に腰掛けてた。
「あ、いつもすいません」
二宮さんはぺこっと頭を下げると、何やら書いている。
「どうしたんですか?」
「あ、これ翔ちゃんに渡しておいてください」
「あ、はい」
見ると、何かの地図だった。
あれ…?ここ…
「よう、和」
お師匠がお台所に入ってきた。
「あ、翔ちゃんおはよう」
この二人は幼なじみで。
たまに二宮さんもお稽古に来ることがある。
筋はなかなかで。
発表会のときは、いつも主役級の役をやってもらうそうだ。
「和…もっと稽古こいよ。もったいないんだから」
「だめだよ…俺なんか…翔ちゃんとは違うんだから」