第3章 夢に舞い、恋に舞う 2
「お師匠は…なんで宗家を継がないんですか…?」
「ん?そうだなぁ…」
パンっと洗濯物を広げる。
「俺はもっと自由でいたいからかなぁ…」
「え?」
「日舞なんて言葉ができたの、明治時代だぜ?それまでは、踊りや舞…こんな言葉しかなかった」
「はい…」
「もっとな、自由であっていいと思うんだ。日舞って」
くるりと笑顔で振り返った。
「太古の昔はさ、火の回りでそれぞれが思うように舞っていたんだ。俺は、そういう舞がしたい」
そういうと、また洗濯物を手にとった。
「だからな、来週からモダンダンスの稽古も入れるからな」
「はい…え?は、はぁ!?」
洗濯物を干し終わると、クリーニング屋さんが来る頃になる。
僕はクリーニング屋さんの袋を持って、勝手口に置いておく。
それまで、廊下や階段を掃除する。
「雅紀。今日は生徒さんこないから、いいよ?」
「いえ…僕の仕事ですから…」
「疲れてるんだから、今日は休め」
「大丈夫ですよ…お師匠さん…」
さっきの、お師匠かっこよかった。
僕も…ああなりたい。
だから、がんばるんだ。
たくさん、お師匠さんに稽古つけてもらって…
僕もついていく。
追いつけなくてもいい。
ついていくんだ。