第17章 海鳴り
「イカ、今日はこの辺だよー!」
潮風に吹かれながら、雅紀が船を停めた。
錨を下ろしながら、レーザーを確認してる。
「じゃあ今日はここからスタートね!」
何個かポイントを回ってくれるらしい。
俺は雅紀の用意してくれた餌を準備しながら、ひたすら続く海と空をぼんやりと眺めた。
手の止まってる俺の横に来て、苦笑いした雅紀は俺の代わりに、準備をしてくれた。
その間も、ぼけっと空と海を眺めていた。
「大野さん、はい」
雅紀が俺の手に釣り竿を握らせる。
「釣り竿持って、ぼーっとしてなよ。せっかくだから」
にこっと笑うと、俺の隣に腰掛けた。
タバコに火をつけると、紫煙を吐き出す。
日に焼けた顔は、満足そうに微笑んだ。
ホルダーに竿を差すと、俺もタバコに火を点けた。
雅紀が灰皿をこちらに押しやる。
「さんきゅ」
そう言うと煙を深く吸い込んで吐き出した。
「うめえな…」
「そう?」
「海の上で吸うと、いつもより旨く感じる」
「そっかあ…」
雅紀がタバコを指で挟み込んで、眺めた。
「そんなもんかなあ…俺、毎日海に出てるから…」
「そっか…ここ、お前の職場だもんな…」