第16章 レイン
「ほら、コレやるよ」
小さなスケッチブック。
「なに?」
そろりと表紙を和也が開けた。
「あっ…」
そこには和也の絵を描いておいた。
笑顔に満ち溢れる、ひまわり畑の中の和也。
「これ…僕?」
「おお…」
照れくさくなって、ゴロンと床に寝転がった。
「要らなかったら捨てろ」
そんなこと、和也がするわけないの知ってるのに。
照れくさくて、そんな憎まれ口ばかり叩く。
「そんな!大事にする…」
ぎゅっと和也は、スケッチブックを胸に抱えた。
「嬉しい…嬉しいよ…大野さん」
「…おう…」
その泣きそうな笑顔も、全然潤と似てない。
そう…似てない。
ぜんっぜん似てない!
起き上がって和也を抱きしめた。
「おっ…大野さん!?」
そうこの身体の柔らかさだって、ぷにぷにしたお腹だって、全然似てない。
すっぽりと俺の腕に収まる、小さな背中だって…
「和也…ありがとうな…」
この一年、ずっと和也は俺の傍に居てくれた。
多分、潤の代わりに俺がどうにかならないように、見守るために。
「和也…」
「うん…?」
「もう、潤の代わり…しなくていいぞ?」