第15章 悪徳の花 4
「乾杯」
ワイングラスを掲げると、一口だけ口に含む。
「今日はそれでおしまいね」
「ああ」
俺の検査結果は、相当良くないのか…
最近、翔は全然酒を飲ませてくれなくなった。
大人しくそれに従ってる。
まだやることが残ってるから。
翔の左手の薬指には、シルバーのリングが光る。
俺の手にも、同じデザインの指輪が嵌ってる。
先月、無事に俺は櫻井家の養子となった。
俺の苗字は櫻井になったが、職務上は二宮で通してる。
ややこしいからね。
「今日、学会でね…」
「うん」
「男と結婚してるのかって聞かれたよ」
翔は微笑んでる。
「んで…なんて答えたの?」
「そうですって言っちゃった…」
「バカ…そんなこと言ったら…」
「今までも…あったことだから…」
「え…?」
「櫻井病院に行ったら、掘られるぞとかね…言われてたらしいから…」
「翔…」
「でも、僕と和也は正式に夫婦になったんだ。だから…僕、もう平気だよ」
そう言って微笑む翔は、美しかった。
出会った頃よりも、強く惹かれる。
「翔…おいで…」