第15章 悪徳の花 4
「相葉くん、人事部長呼んで」
スピーカーに話しかけると、すぐに了解の返事が来る。
15分ほどで、人事部長はやってきた。
「はい、なんでしょう」
このおっさんには、今回なにもしなかった。
これから、活躍してもらわないといけないから。
「コンピューター室が独立する前に、人事異動をお願いしたい」
書類を渡すと、人事部長はメガネをずり上げて見入る。
「ちょっとこれは…」
「なんでしょう」
「なぜこのような人事を…」
「櫻井のIT部門のセキュリティー強化の為に、コンピューター室の人間を各部署に配置することにしました」
「なぜ現行ではいけないのでしょうか…」
「現行?現行であなたはいいと思っているんですか?」
「と、いいますと?」
「今でも櫻井のシステムは穴がある」
人事部長はギクリとした。
「例えば…個人情報の流出…とかね…?」
「ほ、ほう…」
「患者だけじゃない…ここに勤める職員名簿なんかもね…」
人事部長は、個人情報の売買に手を染めている。
面接に来た者の履歴書まで売り飛ばしてる。
どいつもこいつも…
システムの穴は、こいつの為にわざわざ残しておいた穴だった。