第15章 悪徳の花 4
立ちあがった瞬間、腕を引かれた。
「大野…」
「室長…お願い…」
大野の頬を手で包むと、顔を引き寄せた。
唇を重ねると、大野の身体がびくっと震える。
「室長…」
深く貪って、唇を離すと銀の糸が引いた。
「じゃあな…」
扉を開けると、翔が立っていた。
「あれ…和也…」
「ん。ちょっと大野に話があってね。あ、そうそう大野」
大野が顎を拭いながらこちらを振り返った。
「今日から俺と翔、副医院長だから」
それから数日は慌ただしく過ぎていった。
コンピューター室に関しては、完全に経理部長に委任した。
後はどう料理しようが構わない。
たくさんの”俺の部下”がいるし、ヤツを監視してるから、もう汚いマネはできないだろう。
俺は副医院長としての仕事を開始するため、櫻井病院に移った。
執務する部屋は翔と隣。
それぞれが医院長室より少しだけ小さい部屋を最上階に与えられた。
これで、完全に俺は経営陣の一人となった。
理事よりも強固な立場を築いた。
そして櫻井家との養子縁組。
これでより一層、立場は盤石となる。
副医院長室の窓から、俺達のマンションが見えた。