第15章 悪徳の花 4
「和也さ…」
「ん?」
「俺の家の籍に入ったら、暫く休み取ろうよ」
「…なんで?」
「検査の結果が、あまり良くない」
「…大丈夫だよ…」
「和也っ…」
「翔、今が一番大事な時なんだ。身体のことは気をつけるから…ね?」
「だめだよ…」
そのまま足早にエレベーターに乗り込む。
翔はその場に立ち尽くしていた。
面倒なことになったな…
PHSを取り出して、通話ボタンを押す。
「あ、俺だけど…今、時間大丈夫?」
内科のミーティングルームを指定されて、そこに向かう。
「あ、室長…」
白衣の男が立上がる。
「ああ…いいから。そのままで」
大野はストンとイスに腰掛ける。
「翔が来る前に、手短に…」
「なんでしょう」
「俺の検査結果、誰かのとすり替えられない?」
「えっ…?」
「結果が良くないらしいんだけど、俺、今やすんでる暇がないんだ…」
「そんな…室長だめですよ…」
「いいんだ。今、大事な時なんだ。お前のほうでなんとかできないか?」
「…やってみます…けど、絶対に無理は…」
「わかってるよ。ありがとう。頼むな」