第15章 悪徳の花 4
副医院長の定年退職と共に、櫻井の人事が刷新された。
理事、役員、共に年齢層が若くなった。
これからの病院経営には若い力が必要だと力説し、おっさん共は名誉職についてもらった。
すんなりといきましたよ?
だって、皆さん僕の味方ですから…
「和也…凄いね…」
理事会の終わった後の会議室を出ながら、翔が囁く。
「ん?なんで?」
「だって…こんなに話がスピーディーに進むなんて…思いもしなかった」
「もっとおっさんたちがゴネるかと思った?」
「うん…正直思った…」
「ふふ…魔法を使ったんだよ」
「えっ?」
誰も居ないから、ちゅっと翔の頬にキスをした。
「俺、こういうこと得意なんだ。だから翔はなにも心配しないでいいからね?」
「和也…」
「和也くん」
廊下に出ると、医院長が声を掛けてきた。
「父さん」
「ああ、翔も。聞いてくれ」
ごほんと咳払いをすると、医院長は喋り始めた。
「和也くん、君を正式にうちの籍に入れる手続きが整った。後は書類にサインするだけだ」
「ありがとうございます」
「翔と一緒に、後日弁護士事務所へ。手続きを済ませよう」
「本当!?父さん」
「ああ…翔、これで病院潰したら、恨んでやるぞ」
笑いながら医院長は去っていった。