第14章 悪徳の花 3
「わかっていますよ…世間一般でいう結婚はできませんからね…」
「…そんな話…認められるか…」
「でしょうね…」
俺は煙草入れからタバコを拝借した。
ライターで火をつけると、医院長を見た。
「どうでしょう…私をあなたの養子にするというのは…」
「え…?」
「そうすれば、翔さんと僕は一生離れない。結婚と一緒です」
「なにを…」
「もちろん、相続のたぐいは全て放棄します。あなたの財産は一切要りません。僕は、翔さんが欲しいだけですから…」
「正気なのか…」
「正気ですよ…だからこの5年、頑張ったんですから…」
「なんてことだ…」
医院長は溜息をついて灰皿にタバコを押し付けた。
「認めてくださいますね?」
「できるわけがないだろう」
「おや…そうですか…残念です…」
じろりと医院長を見ると、身をすくませた。
「…認めて貰えないとなると、公表するしかないですね…」
「…やめろ…」
苦しげに呻いている。
苦しめばいい。
それがアンタのやってきたことの代償なんだからな…
自分の身辺を綺麗にしておかなかったのがいけないんだろうが…