第14章 悪徳の花 3
次の日、医院長に面会に行った。
コンピューター室を、一つの会社として独立させる話だった。
以前からある話だったけど、俺は断り続けていた。
あの小さなビルも、今では櫻井のコンピューター室にまるごと買い取られていた。
理事になった今、動き出す時だった。
「じゃあ、社長は二宮くんで、な」
煙草入れからタバコを取り出すと、火を点けた。
煙を吐き出しながら、俺のことを目を細めて見ている。
「いいえ…それについてはまた後日…」
医院長の動きが止まった。
しかし、すぐに気を持ち直した。
「わかった…それとな、副医院長が定年退職するんだ…」
「はい…」
「次の副医院長には、翔を推そうと思ってる」
「はい。よろしいのではないでしょうか?」
俺の顔色をみて、医院長はほっとした様子だった。
「これでやっと、翔を跡継ぎだと公表できるな…」
「そうですね。おめでとうございます…ああ…」
医院長が少しビクっとして俺をみた。
「息子さんのことなんですがね…」
「…なんだ…」
ソファに座ったまま、身構える。
「この度、俺達は結婚することになりまして…」
「…なんだと…?」