第14章 悪徳の花 3
「おめでとう。和也」
マンションで、二人でワインを開けた。
「ありがとう。翔のおかげだよ…」
「ううん…和也の実力だよ…ホント、凄いよ…」
純真な翔は、俺が陰で何をやっているのかなんて知らない。
それでいい…
翔は汚れちゃいけないんだ。
たとえお前の父親が、泥にまみれた汚いオッサンだとしても。
「薬…飲んだ?」
「ああ…飲んだよ?」
5年前の検査で、肝臓に異常が見つかった。
ただ、今すぐにどうということはなく、薬で症状を押さえている。
毎日服薬する習慣がなかなか身につかなくて、時々飲み忘れてしまう。
「…もう…嘘ばっかり言って…」
立ち上がると薬を持ってくる。
「ちゃんと飲んで?」
水をコップに注ぐと俺の前に置く。
「わかったよ…」
「今日はワインおしまいね」
そう言ってワインに栓をしてしまった。
「ケチ…」
「僕は身体を心配してるの。ただでさえ、激務なのに…和也は…」
「翔だってそうだろ…?一緒だよ…俺、尊敬してる」
「そんな…」
頬を赤らめて、キッチンに瓶を持っていく。
5年経つのに…
変わらないな…翔は。
俺はあの頃より、どんどん薄汚れていくのに。