第13章 悪徳の花 2
「室長、まだ残ってるんですか?」
部下が俺に気を使いながら帰り支度をしている。
「ああ…医院長に頼まれてね。これだけは仕上げないといけないから」
「そうですか…なにかお手伝い…」
「いや、いい。俺一人で十分だ」
「そうですか…じゃあお先に失礼します」
「ああ、よいクリスマスを」
ペコリと頭をさげて、部下は帰っていった。
「さて、と…」
親父の借金を返し終わった今、これで俺を戒めているものは無くなった。
櫻井のシステムは、脆弱で…
最初に全てを把握した時、愕然とした。
これを一からやり直して、やっと今日のシステムを築き上げた。
それを医院長は高く評価している。
多分、翔の後押しもあったんだろう。
一年経って、俺の給料は5倍になった。
「なにから始めましょうかね…」
櫻井のシステムを再構築しながら、掴んだ情報。
これをどうやったらフルで生かせるか。
モニターの前で手を組みながら、最高のショーを見る前のような気分になる。
これから、全部この手に握ってやるんだ。
メールサーバにアクセスすると、一つのフォルダーを開ける。
「経理部長、アンタからだ…」