第12章 悪徳の花
父親の工場が不渡りを出した。
それからは転がり落ちるように、生活は悪化した。
家族は住む家を失い、離散した。
父親は借金を払うために、危険な作業を伴う工事現場に働きに出た。
母親も働いたことなどなかったのに、パートに出ている。
兄弟たちは、父親の借金を返そうとそれぞれが頑張っている。
それなのに俺ときたら…
こんな真っ暗な地下で、こんな臭いゴミに囲まれて…
手を真っ黒にして働いても、稼げる金は僅かで。
就職活動も焦っているからか、上手く行かない。
一度は、爪の間が黒いのを指摘された。
どうしても取れないのだ。
「どうして爪が汚いまま、面接に来られるのですか?」
「これは、アルバイトで清掃をしていて…」
すると面接官はバカにしたような笑いを浮かべた。
「清掃員…」
案の定、そこは落とされた。
なんでもいい…働きたい…
自分の元いた場所に戻りたい。
あがけばあがくほど、深みに嵌まる。
別にプログラマーに戻らなくてもいいのに…
なぜかその時の俺は、こだわっていて。
必ずプログラマーに戻るんだと、それしか頭になかった。
今は…