第11章 玲瓏
「お国の為に、お疲れ様でございました…どうぞごゆっくりしていってください…」
畳に手をついて、頭を下げた。
「…よせよ…別に疲れちゃいねえ」
「え…?」
和が驚いた顔を上げた。
「そういう堅っ苦しいの、大嫌いなんだよ」
「そうなんですか…」
ぽかんとした顔で見上げているのがおかしくて…
緊張が解れた。
「俺、大野っていうんだ。関東軍に所属してる」
「はい…階級は准尉どのですね?」
「よくわかるな…」
「毎日、軍の方にかわいがっていただいていますから…」
そういうと、目を伏せた。
思わず手折ってしまいたくなる風情。
まさか、満州まで来てこんな上玉に会えると思わなかった。
戦地で抱くのは、下等兵の中の女みたいなヤツ。
でもやっぱり女の代わりになんてならなくて…
奉天なんて都会まできたら、女を抱いてやるぞって意気込んでいたのに…
上玉がいると騙されて連れてこられた、男娼宿。
悪くない…
茶を啜りながら、少し笑った。
和も俺の顔をみて、微笑んだ。
それは、可憐な少女のような笑みだった。
暫く、目が離せない。