第10章 コーヒー
「智に喜んで貰えて、嬉しい」
昨日からやけにそんなことばかり言う。
「おう。また、たまには淹れてくれや」
コーヒをすすりながらいうと、赤くなって頷く。
「なに赤くなってんだ?」
「えっ?赤い?俺?」
「おう。熱でもあんの?」
「ないない…」
慌てて頭を振る。
かと思ったら、俺の顔をじっと見る。
「あんだよ?」
「えっ…あっ…なんでもない」
「変なやつ…」
「ね…」
雅紀が手を伸ばしてくる。
そっと俺の後ろ頭に手を伸ばしてきた。
「いてっ…」
「あっ…」
「え?なんだよ…」
さっきよりも真っ赤になって、雅紀が俯く。
「どうしたんだよ?雅紀?」
顔を覗き込むと、腕で隠す。
「ホントだったんだ…」
「え?」
「夢じゃなかったんだ…」
「え?なんだよ?」
「智…俺のこと、嫌いになった?」
「え?」
「ごめん…あんなことして…」
「えっ…」
あんなことって…
キス…とか…
したこと?
「あっ…えっと…」
「やっぱり!ごめんっ…」
うろたえて、後ずさっていく。