第10章 コーヒー
ゴーリゴーリ…
朝っぱらから、また台所に手挽きミルの音が響き渡る。
俺はベッドに腰掛けて、その音を聞いている。
なんだか幸せな音だった。
簡単な朝食を済ませて、雅紀が朝のコーヒーを淹れてくれている。
「智ー!あとちょっとだからね!」
「おう。待ってるわ」
ガラス戸を開けて、タバコに火を点ける。
今日は、遠くの山までよく見える。
空気が澄んでいるから、痛いほど寒い。
でも、びっくりするくらい清々しい朝だった。
ふーっと煙を吐き出すと、タバコが肺に染み渡る。
タバコすら、びっくりするくらいウマイ。
昨日からなんて良い日なんだ…
今日は日曜日。
これから、雅紀と出かける予定だ。
タバコを消す頃、コーヒーのいい匂いが漂ってきた。
「智ー!できたよ!」
「はーい」
台所に入ると、雅紀がマグカップを二つ持って立っている。
「はい、智」
「おう。ありがとな」
「乾杯」
「乾杯」
マグカップを合わせると、またいい香りのコーヒーを口に含む。
「ウマイ…」
「良かった…」
ふふっと笑うと、目尻にシワがよった。